苺畑でつかまえて

カツ&サリー、闘いの記録

カツ&サリー掲載雑誌のお知らせ


以前、取材があった介護雑誌が、
ついに発行されました!

タイトルは「ドキュメント:百人百色の介護」です。
(文・写真はフリーライターの野田明宏さん。)

等身大の私達の生活、
読んでもらえたら嬉しいです。
(※各写真をクリックすると拡大表示されます。)


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風車に向かうドンキホーテ・バカップル

「私たちはイカレポンチ夫婦なんですよ。ガッハッハ!」
 豪快にこう語るのは三宅小百合さん51歳。40歳過ぎまでキンキラキンの金髪ロックンローラー(以後はロッカーで統一)。バンドを組み、ボーカルを担当し渋谷のライブハウスで歌っていた。本職は、グラフィックデザイナーだったが、金髪で職場もそれで押し通した。ご主人の勝彦さん49歳とは、音楽仲間募集サイトで知り合った。勝彦さんも、もちろんロッカー。金髪。ケンカも度々。大型バイクを乗りこなし、周囲の友人たちからは“ろくでなし”と呼ばれていた。

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 交際が始まって1年後に結婚。その1年半後に勝彦さんが脳幹出血に見舞われた。自宅で、二人一緒に過ごしているときだったのだが、即、救急搬送。しかし、医師からは
 「脳幹という脳の一番奥の部分で出血をおこしています。これからの3日間は命の保証はできかねます。もし助かったとしても、植物人間。もしくは一生寝たきりだと覚悟してください」
 小百合さんは途方にくれた。
 「覚悟 覚悟ってなんやねん。何の事かさっぱり分からへん」
 このとき、小百合さんは41歳。勝彦さんは39歳だった。若い二人へのあまりにも酷い神の悪戯。しかし、勝彦さんは奇跡的に命の灯火を消さずに済んだ。ただし、ICUから一般病棟に移された10日後、勝彦さんは小百合さんに懇願した。全てが動かない身体。五十音表に、瞬きで
 「こ ろ し て」
  “生き残る”への闘いのゴングが、小百合さんの胸に鳴り響いた。

リハビリ・ロッカーがゆく

 今、三宅夫婦は墨田区墨田のアパートに住んでいる。寅さんを直ぐに想像させられる典型的な下町だ。勝彦さんが元気な頃の口癖は「ロッカーはお洒落な街に住まないと!」。とはいえ、リハビリ中心の生活には下町人情も支える。
 勝彦さんは、ほぼ毎日がリハビリだ。週一回の土曜日夕刻、街中を歩行器を使って闊歩する。勝彦さん、小百合さん、そしてマッサージ師の逸見さん三人で。この日、東京は35度を超える猛暑日。熱中症で病院へ、救急搬送されるというニュースで賑わった。しかし、勝彦さんは予定どおりに玄関を跨ぎ、道路へ。街中リハビリの開始だ。ただ、ここまでの道のりは険しかった。勝彦さんが興奮気味に語るのだが言語障害著しく、小百合さんが通訳してくれる。

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「半年後に退院したんです。意を決して電動車椅子で屋外へも出たんです。スーパーへも行きました。そのとき、電動車椅子が他のお客さんと交錯したんです。すると、『こんなデカイ車椅子で、スーパーなんかへ来るんじゃないわよ。他人の迷惑も考えなさい』。私たち二人、世間の冷たさを知りました。悔しさに泣きもしましたよ」
 勝彦さん、踏ん張る。ロッカー魂の意地の見せ所とでも表現すれば良いのか? 前へ 前へ。ゆっくり ゆっくりと。ただ、身体が大きいだけに目立つ。この夕刻、せっかくだからとスカイツリーが見渡せる場所まで踏ん張った。額から喉先から、顔中から汗が溢れ出している。キツイに違いないが、何故か充実感を漂わせる表情。
 「や れ ば で き る」
 帰路、八百屋さんから声が掛かる。
 「暑いのに頑張ってるねー。大分、調子もよさそうじゃない」
 勝彦さん、嬉しそうに頭を下げる。行き交う人たち数人からも、「こんにちは」が。

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おまえが死んだら おれは餓死!

 さて、小百合さんは勝彦さんのリハビリ進捗状況をコマ目に動画に納めている。この日も、デジカメを動画対応に設定して勝彦さんの前方から構えた。この、動画をまとめたモノをユーチューブにアップしている。厳しい場面も多いが、
タイトルは“苺畑外伝”
サイトアドレスは、
http://www.youtube.com/watch?v=lmTbv_8drfI
 小百合さんが、今までを振り返る。
 「とにかく大変でした。ただただ大変やったんですけど、何処にどう助けを求めて良いか全く手段を知らへんかったんです。そりゃあ、そうですよ。私たち二人ともに、元気な頃は障害がある人を軽視してましたから。精神的な意味で凄くキツカッタのは、私が体調を壊し寝込んでいるとき、彼が私に言い切りました。『おまえがこのまま死んだら、オレはクソにまみれで、おまえの死体を見ながら独り死んで行くんだなあ! 餓死だ」
 今日まで、三宅夫婦は険しくも茨の道を歩んできた。勝彦さんは、自分のためでなく小百合さんが喜んでくれるからリハビリを頑張っていると言う。では、支える小百合さんは?
 「完全復活に向けて頑張るだけです。その確信ですか? ありません。風車に向かうドンキホーテですよ私は。でもね、二人バカップルなりにね、意地は通したいんです。不戦敗なんてありえないですよ」

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●Better Care(ベター・ケア)(芳林社)
介護に関する情報雑誌(季刊誌)
掲載は、2013年秋号(第61号)です。

1冊定価:500円(年間購読: 2,000円)
※残念ながら書店では販売されてないそうです。(><)
(ご購入は下記から。)

「Fujisan.co.jp」
http://www.fujisan.co.jp/product/1281683870/

「TUTAYA on line」
http://shop.tsutaya.co.jp/mag/product.html?productid=1281683870



●文・写真はフリーライターの野田明宏さん

「野田明宏ホームページ」
http://www.noda-akihiro.net/index.html

「ありがとう和ちゃんー母の介護を終えて」ブラス出版
http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106261785


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若くして脳幹出血に倒れ、中途障害者となったカツの毒舌ブログ。

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